不動産市場の現状

2024年12月04日

11月時点の日本の不動産業界は、全体的に緩やかな持ち直し傾向が見られます。

 

国内経済の動向

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの報告によれば、雇用の改善や名目賃金の増加に伴い、

個人消費は下げ止まりから持ち直しの動きを示しています。

企業の設備投資意欲も底堅く、輸出も持ち直しの兆しが見られます。

これらの要因が不動産市場にも好影響を及ぼしていると考えられます。

 

不動産市場の現状

不動産市場においては、借入金利の上昇が意識されつつも、ファイナンスのアベイラビリティ(資金調達の容易さ)は維持されています。

これにより、不動産投資への意欲は引き続き高い水準を保っています。

ただし、建築費の高騰により開発事業の絞り込みが進み、着工件数は減少傾向にあります。

 

海外市場の影響

海外では、中国の不動産市場が引き続き低迷しており、大手企業にも影響が及んでいます。

中国の不動産危機は深刻化しており、その影響を象徴するのが南部の不動産開発会社です。

大手の万科企業は、不動産セクター低迷の中でもデフォルトを回避していますが、厳しい状況が続いています。

不動産会社のドル建て債のデフォルト額は1400億ドル(約21兆8000億円)に達し、未完成住宅も数百万戸残っています。

これにより、中国経済の不安定化への懸念が高まっています。

万科の2027年償還のドル建て債券は額面の約半値で取引され、株価は1年間で3分の2も下落しました。

 

また、米国ではオフィス不動産市場の不況が報告されています。

これらの海外市場の動向が日本の不動産業界に与える影響については、引き続き注視が必要です。

 

現時点での不動産業界の景気は、国内では全体的に持ち直しの兆しが見られる一方で、建築費の高騰や海外市場の影響が懸念材料として挙げられます。

不動産投資や需要は引き続き堅調ですが、金利上昇や外部要因によるリスクへの注意が必要との見方が強く感じられます。

 

中国不動産危機